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モトチンコ展

10月8~10日、ちず屋の2階で三日間にわたって開催されました、モトチンコ展。おそくなりましたが報告です。
モトチンコ展01
一日目
初日はプロジェクターを忘れた上に遅刻。9:15頃から展示作業に入りました。午前中は誰も現れず。ずっと準備をしていたので、まぁ調度よかったですけど。12:45ついに一人目のお客さまが。なんと即興舞踏家、イマジナの松崎さんでした。昨年はワークショップに参加させていただき、たいへんお世話になりました。いわば僕のダンスの師匠ということになります(僕は普段踊ってませんけど)。今年もワークショップをやれれるそうで、チラシを持ってきてくださいました。古町どんどんで知人のお手伝いに来ていたらしく、すぐ帰られましたが、明日も来てくださるとのことでした。松崎師匠、ありがとうございました。

14:00二人目のお客様は、なにかとお世話になっている、劇団五十嵐劇場の安達さんでした。五十嵐劇場アトリエでのイベント『劇団A.C.O.A招致公演 ―共生の彼方へⅠ― 霧笛』のチラシを市民活動支援センターで印刷してきたそうで、チラシとお祝いのお花を持ってきてくださいました。昨今、失われつつあるように思われていた義理と人情にふれることができた瞬間でした。安達さんは、ちず屋の2階がお気に入りのようで「お洒落ですね」「落ち着く」などの安達さんらしいコメントを残して去っていかれました。

松崎さん→安達さんと、目鼻立ちのくっきりした女性がチラシを持ってきてくださるという事例がつづきましたが、しばらくまた誰も来ませんでした。

階段をおりたところに、ちず屋さんのトイレがあったのに全く気づかず、コンビニのトイレに行っていました。古町どんどんでコンビニのトイレは行列ができていて、だいぶ待たされました。そんな無駄な時間を過ごしていると、漫研会員のKさんがスタッフとして来てくださいました。ちず屋で、うどんを食べてきたそうで「シダさんに『(モトチンコ展が)ひどくてスイマセン』て、あやまったらシダさん笑ってた。」とおっしゃっていました。シダさんは干渉してこない方なのだから、そんなこと言わなきゃわからないのに…っていうか、シダさん、そんなことで笑うんだ。俺、シダさんが笑ったとこなんて見たことないぞ…と、色々な思考が渦巻きました。さらに「基村くんが観劇中によく寝るのは、暗くてあたたかいところにいると、すぐ寝ちゃう人だからなんです、って説明しておいた。」とおっしゃっていました。シダさんは、そんなこと気づいてないかもしれないのに、俺の印象がどんどん悪くなるじゃないか…と、さらに思考が渦巻きました。

そして夕方頃、なんと全く初対面の方がきてくださいました。ギャラリー蔵織で二人展をされた、おかだいつきさん。学生時代、演劇をされていたそうで、ちず屋の2階という空間に興味があったとのこと。今回の展示のことも、ちず屋の2階のブログで知ったそうです。「漫画研究会だから漫画があるのかと思った。」と、いままで何人もの人達をがっかりさせてきた、犀の眼のおかしな部分を指摘していただきました。また、アーティストだけあり、常人ではないオーラを発しておられて、スタッフのKさんに「この絵は、みんなお姉さんが描いたんですか?」と質問し、ショックを与えていました。そんな感じで、おかださんとお話していますと、昔、にいがた映画塾で知り合ったUさんが来てくださいました。何年かぶりなので、すぐにはわかりませんでした。漫研会員の"すずこ(仮名)"さんの紹介で来てくれたそうです。Uさんは写真をやられていて、当時、P-PROJECTで展示などもやられていたと記憶しております。さらに、インディーズムービーフェスティバルの実行委員長、大橋さんが、産まれたての愛娘を連れて、チラシを置きにやってきました。皆でかわるがわる赤子を抱っこして、ゆるやかな刻が流れました。

モトチンコ展01
一応、個展ということで、今までにつくったアニメでも観ましょうかということになり、比較的評判の良い作品をパソコンで観ていたのですが、Uさんから評判の悪い作品も観たいという要望があり、ワークショップで僕が撮った作品を観ていただきました。なるほど評判が悪いわけだと、みなさん納得されたようでしたが、一連の説明(アニメのワークショップをやったところ、みんな初めてなのに上手で、僕のつくった作品が一番クオリティが低かった)というのも、いままで何人もの人達に説明してきたもので、だんだんこなれてきて漫談のようになってしまっていまして、これは良くない兆候だと思った次第でした。

この日、最後のお客さまはレコケンくんのHAさんでした。HAさんは、ビデオをみる会、ミーティングにも二回来てくださり、なにげに今年の漫研イベントに一番来てくださった方でした。

一日目はとにかく、プロジェクターを忘れてしまったのと、展示のレイアウトが固まってなかったのが反省点でした。スタッフからは「ひどい」「今日は誰も来ない方がいいよ」「せめて明日はお茶を出しなよ」などの叱咤激励が飛び交いました。また、ちず屋の2階の黒い壁に合うかなと思い、「地獄」「人間」「幻」「精神」「肉体」などの切り文字をつくって貼っていたのですが、スタッフからは「地獄的なものがテーマなのに『地獄』って、そのままじゃん」「一人で『精神』とか切ってたと思うと笑えるー」などの鋭い指摘がありました。

一日目はこんな感じでした。

二日目
二日目は遅刻することもなく、来る途中お茶を買い、プロジェクターも忘れることもなく順調なすべりだしでした。やはり9時から来る人などおらず、プロジェクターの設置と、模様替えに取り組むことができました。また、昨日「一人で『精神』とか切ってたと思うと笑えるー」と言われたので、対策として「紳士」と書いた切り紙を貼っておきました。こうすれば、ちょっとふざけた感じも盛り込まれるので、真剣に「精神」とか「肉体」とか切って笑えるという言葉に対し、こちらはハナからちょっとおもしろくしようとしているんですよ、それが何か?という態度で臨むことができるのです。

11時ごろ、二人連れのお客さまが。漫研会員にしてDeep inside neo vision仲間のカンダアキラさんとイラストレーターのあんもさんでした。あんもさんとは、Deep inside neo visionの上映会で面識がありまして、僕が目標としているチョイスにも軽く入選しているという実績のある方です。カンダさんが「アニメに興味のある女の子」を連れてくると言っていたので、いまだ見ぬお洒落アニメ好き女子を想像していまして、ちょっとやられた感がありました。カンダさんはポラロイドカメラをお持ちになって、フィルムがお高いというのに僕の粘土細工をパシャパシャと撮っていました。あんもさんはオリンパスのペンをこれまたパシャパシャいわせていました。あんもさんが「アニメ教えてくださいよ」と言うので「僕みたいなチョイスに入選したこともない人間が人様に教えるなんて恐れ多い…」とかなんとか卑屈に答えました。このチョイスうんぬんていうのも漫談ぽいので、もう言うのはよそうと思いました。あんもさんは、たいへん精力的で、定期的に活動しようとか、ワークショップをやろうとか言ってくださり、「なんかすごい情熱だからのっかってみようかな」と、10歳年上の中年男に思わせるのでした。また、あんもさんのイラストには力があるので、それを利用して金儲けはできないだろうかと夢想を抱きました。

とりあえず昼食を食べながら今後の打ち合わせをしようということで、ちず屋に行ったのですが満席。休日の昼間はいつもこんな感じなのでしょうか。失礼ながら、こんな人気店だとは思っていませんでした。店の外で待っていると、古町どんどんからパンダの着ぐるみがやってきまして、路地にパンダの着ぐるみという不思議な世界を構築していました。待っている間に、お洒落の話になりまして、俺はお洒落だ、将来はお洒落雑貨古民家自給自足ギャラリーねこのいるヨガマクロビオティック有機野菜カフェを開きたい、そんなバカなことを言っていた気がします。いえ、本当にやれたら良いのですけどね。

カウンターに三人で並んで「今日のうどん」「今日のうどんセット」「今日のうどんとハイネケン」を注文。今まで何回かカンダさんと食事をご一緒したのですが、時間と場所に関係なく100%の確率でアルコールを注文されるのでした。あんもさんと話していると、僕の息が臭かったのかあんもさんが鼻をつまみました。中年になると加齢臭などいろいろ気をつけなくてはなりません。そんな時、ちず屋に一人のお客様が。昨日、展示にきてくださったHAさんでした。HAさんは市民マラソンをかなり上位で完走し、そのまま二日連続でちず屋にうどんを食べにきたのでした。そういえば「うまいから結構来ます」と言っていたような記憶が甦りまして、その時は展示にわざわざ来てくれたけど気をつかってそんなことを言っているのかなと思ったのですが、どうやら本当にちず屋のうどんが好きらしく、昨日もちず屋のついでに展示に来てくれたのかもしれないぞ、と思いあたりました。HAさんは漫研会員以上に漫画に情熱を持ってらっしゃるので、漫画の話題に。僕も丁度そのころ、漫画のすごさを実感する出来事(雑誌を立ち読みしただけ)があったので、つい話しこんでしまいました。それと、書かなくてもいい小さなことですが、シダさんがごはんをつけ忘れて、僕の今日のうどんセットが今日のうどんになるという出来事がありました。あれだけ繁盛しているのに一人できりもりしているのだから仕方のないことだと思いました。充実した昼食が終わり、結局、ワークショップなどの話をつめることなく、あんもさんとカンダさんは去っていきました。

また、しばらく一人の時間がつづき、14:30頃ようやく階段を登る足音が。あわててプロジェクターのスイッチを入れると、7年前くらいにお世話になったHOさんがいらしてくださいました。前回お会いしたときは自主映画の現場だったので、年齢不詳の謎の人だと思っていたのですが、こうして街中で再会してみますと、立派な社会人というか、大人だったんだなぁと、失礼ながら認識を改めさせていただきました。展示については「入りにくかった」とおっしゃられまして、なんでも来る途中に立ち寄ったギャラリーは「外から中の様子が見えて入りやすかった」そうです。確かに、古町どんどんからフラッと流れてくる人は皆無でした。HOさん、お忙しいご様子で、差し入れのお菓子を置いて早々に東京に発たれました。

次に来られたのは、シネ・ウインドのボランティアスタッフで上映企画をやられているSさんでした。全くの初対面でしたが、漫画研究会のことは、事あるごとにシネ・ウインドに置かせていただいているチラシや会報で知っていただいておりました。Sさんは、死体カメラマンの作品や、音楽にテーマをしぼった作品など、僕にとってはコアに感じられる映画を選定しつつ、集客についても考えられていて、シネ・ウインドボランティアスタッフの層のあつさを実感しました。

Sさんが帰られ、次に来たのは知人のEくんとWくんでした。一年以上会わないうちにEくんがやけに良い感じになっていて、最初誰だかわかりませんでした。お洒落の師匠、Wくんに仕込まれたのでしょうか。二人して大きな眼鏡をかけていました。ちなみにEくんは携帯用のアプリをつくったりしている強者です。さらに7年ぶりくらいに会うTAくんと、そのお友達のTUさんが来てくださいました(イニシャルばっかりでスイマセン)。TAくんは、にいがた映画塾の7期の卒業制作で主演をつとめた方で、『Love&FREE』という本に影響を受けて本当にバックパッカーになってしまった行動力のある人物です。当時から二十歳をは思えぬ落ち着きと達観した雰囲気を持っておられたのですが、だんだん実年齢と丁度よくなってきたように見受けられました。海外での経験を経た事による大物っぽい感じを出すこともなく、外観・人間性も驚くほど変わりなく、親しみやすかったです。お友達のTUさんは初対面だったのですが、とてもいい声をしていました(でも、ベーシスト)。パッと見の印象とはうらはらに結構な気遣いをしてくださる方で漫研会報を気に入ってくださったようでした。そんな、Eくん、Wくん、TAくん、TUくんんと、今までの仕事をクビになった話や職場に馴染めなかった話をしていたら、もはや個展とは関係ない世界なのですが、満たされた気持ちになりました。

そんな感じで談笑していると、松崎さんが、まさかの二回目の訪問。男衆五人と松崎さんという不思議な面子に、どうなることかと思いましたが、ひきつづき楽しく談笑したのでした。さすが即興舞踏家の松崎さん、ご自分の世界を持ってらっしゃると、なんとなく思いました。

最後に入れ替わりで、漫研会員のペンギンくん(仮名)くんと友路(仮名)さん、映画塾のSさん、Gさん、鳥の歌の常連Oさんが来てくださいました。みんなでペンギンくん(仮名)くんの自主映画を撮影して、終了後その足で来てくださったそうでした。義理堅さに感銘を受けました。Sさんは初対面でしたが、アート系アニメ・実験映画に詳しく、いろいろおすすめの作品を教えていただきました。Gさんも初対面でしたが、撮影にこだわりがあるようで携帯で写真を撮るにも、しっかりと構図を決めておられました。

展示の時間も終わり、みんなで、ちず屋のうどんを食べようということになったのですが、お店に入ると時間が遅かったせいかシダさんが驚いている様子でした。人数を訊かれたので「6人です」と答えると、「ちょっと勘弁してください」と申し訳なさそうにおっしゃられました。今回の展示は知人を集めて、ちず屋の売上げに貢献し、ポイントを稼ごうという多少嫌らしい企てでもあったのですが、僕が呼びかけるまでもなく、みなさん「ちず屋っておいしいよね」と言われてまして、おいしい店としての地位を築いてらっしゃいますし、あまり大勢来られても、シダさん一人じゃ切り盛りできないし、かえって困っちゃう、ありがた迷惑だよっ、という事に気づきました。漫研好感度上昇計画が脆くも崩れ去った瞬間でした。

三日目
思いのほか、長文になってしまったので、三日目はさらっといきたいと思います。三日目は、お客様にお茶をだすためのお湯を忘れてしまい、まぁ午前は誰も来ないだろうからサッと沸かしてこようと思ったら、9時きっかりに来客が。アトリエ野良の中山さんが来てくださいました。中山さんはデザイナーさんなのですが、意外とアナログな方で、カラス口で1mm幅に何本も線を引く技術を持っているそうです。また、中山さんの知人はキャラクターで一発当てたらしく、その方と中山さんの差はネットに対応してるかどうか、ではないかという話になりました。僕も常々キャラクターで一発当てたいと思っているので、興味深く拝聴させていただきました。

中山さんが帰ってから市民活動支援センターでお湯を沸かしました。その後、誰も来なかったので、勅使河原宏の『おとし穴』を流したりしていました。

15時ごろ、ようやく知人のNさんが来てくださいました。Nさんは年長なのですが、近ごろの音楽に詳しく色々教えていただきました。以前、バンドをやろうと(2人とも楽器未経験)誘われていたのですが、全く実現しておらず、でも、いつかはやりたいと漠然と思うのでした。

15:30ごろ、初対面の方です、劇団「みっくすじゅ~す倶楽部」の藤井さんが来てくださいました。青年の家主催のカルチャーMIXフェスタのスタッフで、漫研のことも気にしてくださっていたそうです。美術にもお詳しいようで、舞台をやる人はさまざまな分野から吸収しておられるのだなと思いました。

確かこの辺で、スタッフをお願いしていた会員の友路(仮名)さんが来てくださいました。途中、カトレア草舎というお洒落な雑貨屋さんで買ってきたというポストカードをいただきました。友路(仮名)さんてお洒落界界隈の人だったのかなと初めて気づきました。

その後、演劇制作集団あんかー・わーくすの斉藤さんが来てくださいました。斉藤さんにはアニメの声優をお願いしていたのですが、全く実現せず、誠に申し訳ありませんでした。今回の展示と丸カブリで開催されました、浜メグリにも参加されたそうでした。さらに劇団第二黎明期の高橋景子さんが来てくださいました。僕が決して行くことができないであろうパラグアイの興味深いお話を聞くことができました。ビデオをみる会によく来てくださったHさんも来てくださいました。Hさんの娘さんは、素晴らしい個展をなさっているのでなんとも恥ずかしかったです。

最後に来てくれたのは、長年お世話になっていて、ご近所さんでもある会員の、すずこ(仮名)さんとその旦那様、略して五十嵐夫妻でした。たまたま会ったという、昔シネ・ウインドで映写技師をされていたというIさんも連れてこられていました。五十嵐夫さんに、個展を何で知りましたか?と質問したところ、「お前がDM送ってきたんじゃねーか、『DMです』って書いてあるDM初めて見たわ!」と、かゆいところに手が届く嬉しくなるようなことを言ってくださいました。五十嵐妻さんは、無理やり連れてこられたIさんに、僕を紹介するにあたり「新進気鋭の作家で、全国で精力的に活動している…」というような事をおっしゃっていたのですが、後半自分で言いながら笑っていまして、こちらも、流石だなと嬉しくなりました。個展の最後を飾るに相応しいお二人でした。

個展終了後、スタッフの友路(仮名)さんに手伝ってもらい、撤収していると、友路(仮名)さんが「(ちず屋の2階は)一人になると怖いですね。」とこぼしました。同じ、ちず屋の2階という空間でも、五十嵐劇場の安達さんのように「お洒落」と感じる方もいれば、「怖い」と感じる方もいる。人間の感覚、感じ方というのは千差万別だなぁと思いました。

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