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廣谷ゆかりさんを囲んでラーメンを食べる会

6月24日、廣谷ゆかりさんを囲んでラーメンを食べる会が開催されました。参加者は廣谷さん、会員のすずこ(仮名)さんこと五十嵐さん、と僕。図らずも、僕と五十嵐さん、どちらがより廣谷さんの機嫌をとり楽しませることができるか対決という図式になりました(僕の脳内の話です)。

 

僕は昨年高知へ行ったり、会報をつくったりして、かなり廣谷さんと関わってきたのが貯金です。対する五十嵐さんはFacebookという未知の領域で廣谷さんと不気味なやりとりをしているようでした。また、ろば屋の留守番をしたこともあり、ギャラリーろば屋と密接に関わっているというアドバンテージがあります。

大会開始前の出来事なのですが、五十嵐さんが早くも廣谷さんとろば屋さんの別れ際を(商売の話もあるだろうから)二人きりにしてあげようと、店の外に出るという気遣いをみせポイントを稼ぎました。前日、閉店時間後も一時間以上居座ったあげく、お金を払わずに帰ろうとした僕とは大違いでした。

大会はまずお店をどこにするかというところから始まりました。僕はハッピーパス6月号を使いたくてしかたがなかったのですが(だって餃子が一皿無料ですよ)、ろば屋さんが別れ際に、上海というハッピーパスにはのらない名店がある、しかし新潟ラーメンという感じじゃないからどうぞハッピーパスに掲載されているようなお店に行ってきてください、というようなことを言いまして。なんとなく、ハッピーパスに載っている店<雑誌とかには載らない隠れた名店、という流れになりました。結局、ろば屋さんの隣の隣の一番ラーメンというお店に行くことになったのですが、 これは完全に五十嵐さんの独断によるものでした。正直、五十嵐さんが決めちゃうのはどうなの?と思ったのですが、後々僕は五十嵐さんの力を思い知ることになります。

お店に入りまして、廣谷さんはラーメン炒飯セット、五十嵐さんはラーメンと餃子、僕は野菜炒め定食を頼みました。野菜炒め定食に豆腐とザーサイがついてきたのですが、豆腐は皿からはみだしそうで、ザーサイは大きな皿にちょこっと入っていました。そのことに五十嵐さんがいち早く気づき、逆にすればいいのにと突っこみ、また少しポイントを稼ぎました。ここで僕は廣谷さんにディーン・クーンツ著の『ベストセラー小説の書き方』という本をプレゼントしようと試みました。先日、廣谷さんが大長編小説を書いているが最後がまとまらないと聞き、この本が役に立つだろうと思ったのですが、本を手に取った廣谷さんはなんとも微妙なリアクションをされていました。どうも、おしゃれ指数の高い人々にはこの手の本はネタとして楽しむ部類の本にカテゴライズされてしまうようです。廣谷さんと五十嵐さんは楽しそうに嘲笑していました。特に『ベストセラー小説の書き方』があまり売れてないという事実が最も笑いの種になったようでした。形はどうあれ、僕の本がウケたのだからそれで満足していれば良かったのですが「これは俺のバイブルだ。この本の素晴らしさがわからないなんて君たちどうかしてるよ。」というようなことを口走ってしまいまして、結局『ベストセラー小説の書き方』はあまりポイントには結びつかなかったように思われます。

その後、流れで三人で何かできないかという話になったので、僕が「羞恥心のない僕と廣谷さんが何かをつくって、五十嵐さんが批評文を書くというのはどうでしょう。」と我ながらまずまずのアイデアを出したのですが、廣谷さんに「一緒にしないでください。」と一蹴されてしまいました。どうやらテーブルを挟んで僕と、廣谷&五十嵐の間に見えないおしゃれカーテンのようなものができはじめているように感じられました。

追い討ちをかけるように、廣谷さんがトイレに行った際、五十嵐さんがお店の壁に貼ってあるメニューのイラストが手書きであることに気づきお店の人と昔話に花咲かせました。鮮やかな切り込みぶりに完全にドキモを抜かれてしまいました。昔ながらのラーメン屋でお店の人と談笑するというシチュエーションは相当ポイント高いと思いました。さらに廣谷さんが戻ってきまして、しばらくお店の人のお話がつづいたころ、廣谷さんの口から「前に、ろば屋さんと電話していたら突然切れてしまい、なにかあったのではないかと心配になり、ろば屋さんが倒れたりしていないか見て来てくださいと(ラーメン屋の人に)電話でお願いした者です。」と衝撃のカミングアウトがありました。この瞬間が大会のピークだと思われるのですが、このエピソードを引き出したのは、このラーメン屋を選んで、お店の人と会話を始めた五十嵐さんの力によるものであることは疑いようのない事実でした。もはや勝負あり。やはり最近になって秘められたおしゃれ感覚がようやく開花した(もしくは開花したと思っている)僕では、長年おしゃれ街道をひた走ってきた人間には太刀打ちできないのだと悟りました。その後、五十嵐さんが昔、自分の恋人と女友達が恋仲にあるのではないかと妄想したエピソードでポイントを稼ぎました。僕も、なにか妄想エピソードないの?と振られたのですが、そんなものはないとキッパリ答えてポイントを失いました。

こんな感じで全く機転がきかない僕だったのですが、さらになんだか疲れてしまうという事態に陥りました。見苦しい言い訳なのですが、この日はビデオをみる会でレセプション、砂丘館のダンスパフォーマンス観賞後、ダンサー2人+初対面の方と談笑、と普段の僕の生活では考えられないくらい人とのコミュニケーションを繰り広げていまして、ちょっとした飽和状態になってしまったようでした。おしゃれな人と関わったり、おしゃれなイベントに参加したりしているうちに、自分はおしゃれなのか、おしゃれだと思い込んでいるだけなのか、おしゃれは敵なのか味方なのか、わからなくなってしまいました。こんな感じで完全に感覚を破壊された僕の完敗ということで、ラーメンを食べる会は幕を閉じました。

 

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